7章 構築事業

◯プラウトヴィレッジ

世界中の社会問題を全て解決する方法は、貨幣が存在しないプラウトヴィレッジを作ること。この直径4kmのプラウトヴィレッジに、社会問題全てを解決する方法が含まれている。

プラウトヴィレッジの事業は、持続可能な社会の構築とその普及活動を行う。持続可能な社会とは、自然の再生能力の範囲内で人間の日々の生活を行い、その中で資源の利用は最小限にとどめ、最小限にとどめた資源をさらに再利用するという、あくまで人間が自然環境の中に住まわしてもらっているという謙虚な姿勢で共生する社会を指す。

そのために、まずモデルとなる一つの街を作る。そこが手本となり、各地域の構築支援を行っていく。アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパなど、地域は違っても人間という単位で言えば、性質も生活に必要な物資も基本は同じであり、つまり一つの小さな街の成功は、世界中の地域で成功することの証明となる。

お金で成り立つ資本主義社会が不完全過ぎるものであることは、日々目にするニュースを見れば明らかとなっている。環境問題、社会的格差の問題、医師不足の問題、少子化問題、過疎化の問題、政治の問題、お金にまつわる人間関係の悪化、いじめの問題など、どこを見ても問題ばかりで、その根本原因はお金と人間のエゴ。それぞれの業界や組織の中で、様々な人物が日々問題解決に取り組んでいるが、人間はそろそろこの根本原因に気づく必要がある。お金を稼ぐために節度ある行動が薄れるという人間の行動パターンを生み出すこのお金の社会が人間のエゴと欲を大きくさせ、様々な問題を引き起こす原因となっている。

この事業は、プラウトヴィレッジで生活をし、そこで生まれる好循環の結果を外部へ発信し、それに賛同する人の和を拡げていく事が基本的な流れとなる。

そして事業の一番の目的は世界中にプラウトヴィレッジを構築し、平和で自然と調和した世界を作り出すこと。そのために一般市民の賛同者を増やし、賛同者が増えた市などから要請を受け、プラウトヴィレッジが自治体構築を支援していく。市民国民から支持されなくなった市や政府は機能しなくなるので、結果的に国は変わらざるをえなくなる。これは他国も同じであり、政府を変えるのではなく市民側から変わっていくことを促し、技術力のある日本が先頭に立って世界の人々の支援をしていく。


◯プラウトヴィレッジ運営・教育理念

【人間の内面に向けて】
瞑想・好奇心・適職・天職を通じて無心になり、自我・執着・苦しみを手放し、平安な心の維持。

【人間の外面に向けて】
地球をプラウトヴィレッジで結び、全ての人の過不足のない生活の保証、自然環境の保護、戦争・争い・貨幣のない礼節を重んじる社会の維持。


◯事業内容

プラウトヴィレッジでは事業を、世界連邦設立までは大きく分けて3段階で進める。

第1段階 設計(ドームハウス、3Dプリンタ、生活品)
第2段階 自治体構築 (国内外)
第3段階 世界連邦設立

第2段階では自治体構築を行いたい団体がプラウトヴィレッジへやってきて、数日間で自治体構築方法を学んでいく。そのための体験クラスが用意されている。

この第2段階では、プラウトヴィレッジに共に住む賛同者を募集することや、日本にいる路上生活者にも希望する人には移住してもらう。日本の路上生活者は2014年の時点で約8000人ほどと計算されている。プラウトヴィレッジ一つで日本の路上生活者全員を救済することができる。

世界中で構築を行っていく上でスピードが重要になってくる。そのため各国に暫定州都としてプラウトヴィレッジを構築し、その国の人々がその国の構築を行っていく。日本の1つ目のプラウトヴィレッジは、各国の自治体構築の基準となる。

最後の第3段階では世界連邦を設立し、世界をその一つの組織で統治する。自給自足社会が構築されていない地域へはその構築方法を提供し、世界の人々を自給自足社会でつなげていく。

①世界連邦の設立
②自治体と州の線引きを明確にする
③自治体と州の地下トンネルの建設
④自治体構築の継続

※②〜④は繰り返し

⑤世界のすべての地域が自給自足社会となり、世界同時に武装解除を行う。


◯プラウトヴィレッジの立地条件

1つ目のプラウトヴィレッジ候補地 岡山県 吉備中央町周辺

現在九州から静岡辺りまで続く南海トラフの巨大地震が懸念されているが、この地震が起こると東京、名古屋、大阪の三大都市が被害を受け、日本のあらゆる経済活動が停止する可能性もある。さらに津波によって沿岸部より5km〜10kmが浸水する可能性もある。この南海トラフの地震の特徴として一ヶ所だけの地震ではなく、それに連なる活断層の地震も引き起こす可能性があり、実際大阪から奈良にかけて巨大地震がいつ起きてもおかしくない活断層が2つ存在している。また同時に富士山を含め火山の噴火も現実のものとして懸念されており、地震が噴火の引き金になるという意見もある。

こういったことを踏まえ1つ目のプラウトヴィレッジの建設候補地は、岡山県の吉備中央町(きびちゅうおうちょう)周辺を第一優先で考える。

主な理由は、標高が約300m~700mあり、今後地震と噴火が起こることを考えると、地震と活火山の影響が少ない地域を選ぶ必要がある。また岡山空港へは30分、新幹線の岡山駅へは60分の位置にあり、アクセスが便利で、本州の中心に近いため車での支援活動も行いやすいなどがある。また冬には一定量の雪が積もるので、山間部に住むことが増える日本の平均的な生活を知ることができる。よって岡山県吉備中央町が、総合的にバランスの良い場所になる。さらに、次の条件を満たす場所を選定する必要がある。

•再利用できる廃村があればそのまま利用する
•そのまま飲める山水が流れているところ
•鉱物など資源があるところ
•人口密度の高い場所から離れすぎていない所
•新幹線と空港からアクセスしやすい場所

岡山空港について
【定期便】
国内:東京(羽田)、札幌(新千歳)、沖縄(那覇) / 国際:ソウル、上海、台北、グアム

【アクセス】
岡山空港は、岡山市の中心部から車で約25分、倉敷から約35分、山陽自動車道の岡山インターチェンジから約10分

これらの条件と比較して、バランスを見ながら候補地を選ぶ。


南海トラフ地震の発生頻度

次の図のように南海トラフ地震は、南海(A、B)・東南海(C、D)・東海地震(E)の震源域に分けられている。1280px-RuptureAreasNankaiMegathrust のコピー

この南海トラフ地震は684年から1361年までは、約200〜260年周期で起こっていたが、その後は90〜150年の周期となっている。

684年、白鳳(はくほう)地震、M8
887年、仁和(にんな)地震、M8、(前回より203年後)
1096/1099年、永長(えいちょう)・康和(こうわ)地震、M8、(前回より209年後)
1361年、正平(康安)地震、M8、(前回より265年後)
1498年、明応(めいおう)地震、M8.2、(前回より137年後)

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東海地震は1854年からすでに160年以上起きていないので、いつでも起こる可能性がある。南海と東南海の地震は、前回の地震から推測すると90年後の2035年から可能性が高くなる。ただその前に東海地震が起き、それに連動して南海と東南海も起こる可能性もある。

日本は100年の周期で巨大地震が起こる国であり、その間にもたくさんの地震が起こる。それを前提とした街づくりをしなければならない。


◯プラウトヴィレッジで取り組む事業

戦争を失くす道

2008年のアメリカでの銃による殺人事件は9484件で、日本では11件だったが、アメリカの人口は日本の約2.4倍だった。武器があれば必然的に争いは起きる。これは国という単位でも同じであり、爆弾や戦闘機を持っていれば必ず戦争が行われる。核兵器など軍事力による抑止力というのは一時的な気休めで、中長期的に緊張は高まり続け、その分装備も増強され、やがて何かのきっかけで戦争になる。世界のすべての国にプラウトヴィレッジが出来たときが武装解除のタイミングとなる。世界各地に広がったプラウトヴィレッジの住民が中心となって、各国同時に自治体の電気炉へ武器を焼き捨てる。

戦争中の国の住民はほとんどが戦争を望んでおらず、プラウトヴィレッジはそういった人々の移住先となる。また難民、移民の受け入れ先ともなる。そうして徐々に各地の貧困、紛争、戦争に巻き込まれる人々が減る。また平時の国に住む人々もプラウトヴィレッジに移住することで、世界中に平和な社会の構築方法を理解し、生活と時間に余裕のある人々が増えてくる。すると社会の雰囲気が前向きな方に変わってくる。そして最後には権力にすがりつく独裁国家や指導者が残り、それらをプラウトヴィレッジが取り囲むようになる。しかしその国の指導者たちにもプラウトヴィレッジへの移住を促し、非暴力によって平和的に解決する。


世界中の貧困問題とスラムを失くす

スラムとは、都市部で極貧層が居住する過密化した地区のことであり、世界中のほとんどの大都市にスラムがある。スラムの特徴として、ゴミが溢れ、高い失業率と貧困があり、このため犯罪や麻薬、アルコール依存症や自殺、人身売買などが多発する傾向にある。こういった貧困層が生まれる原因は収入が少ないからであり、解決策はその地元にプラウトヴィレッジを作ること。貨幣社会ではこの問題を解決することはできず、貨幣社会だからこそ貧困が生まれる。


ベーシックインカムと仮想通貨について

お金と人間の在り方には様々な議論がされている。例えば月10万円を全国民に無条件で支給するベーシックインカムや、全てのお金のやり取りをオンライン上で行う仮想通貨があり、良い面と悪い面が指摘されている。

この2つの在り方についての結論は、「ある特定の分野に関しての効果は見込めるが、 これらが社会問題の全てを解決する方法にはならない」ということ。

ベーシックインカムによって路上生活者は救済されるかもしれないが、環境破壊をなくすことはできない。仮想通貨も、それによってゴミ問題が解決されることはない。この2つの方法論はお金の枠組みにとどまった考え方なので、問題はなくならない。あらゆる社会問題の根本原因はお金の仕組みと人間のエゴで、これが世界中の社会問題の根源である。


未接触部族について

南米のアマゾン熱帯雨林に居住する未接触部族が、世界中には100以上あると推定されている。こういった人々にはプラウトヴィレッジを強制しないことが前提となる。つまり接触も干渉せずそのままを維持する。その中で何かのタイミングでプラウトヴィレッジを紹介する機会があり、もし希望があれば自治体構築を行う。


海に浮かぶゴミの回収

ゴミベルト

この画像の濃い青色は海で、小さな水色の粒がそれぞれペットボトルや、ビニール袋、その他様々な海洋ゴミの存在を表している。これらはゴミベルトと呼ばれている。プラスチックゴミは、海流の波や紫外線などの影響により、マイクロプラスチックと呼ばれる破片や粒子へ変化することが問題視されている。このプラスチックゴミは日本含め各国でゴミとして捨てられたもので、分解されないプラスチックが太平洋など海上に漂流し、それが微細なプラスチックゴミとなってプランクトンとともに魚に食べられ、その魚を人間が食べている。さらに21の国や地域に流通している39種の食卓塩のうち、9割からマイクロプラスチックが検出された。アジアの国で含有量が多い傾向にあったが、日本の塩は調査対象外。それらは人体に蓄積され、徐々にその影響が現れる。これが日々自分たちが無意識に使っているプラスチックの末路となっている。

これら海に浮かぶ莫大なゴミを回収する方法は、当時18歳の高校生だったボイヤン・スラット氏が発明している。プラスチックのほとんどは水面を浮遊しているため、海流によって運ばれてくるゴミを棒状の「浮き」で収集する。ゴミは自然とV字の中心部の塔に集まり格納される。これは網を利用していないため、海洋生物を傷つけない。

貨幣社会ではこういった大量のプラスチックゴミが常に海洋に流れている。解決策はこの「海洋ゴミ回収プロジェクト」と並行して貨幣が存在しないプラウトヴィレッジを広め、企業のプラスチック製造をなくすこと。ただ市民はこういった企業で働いて給与を得ているわけで、つまり市民が脱貨幣社会をしなければ、根本的に問題は無くならない。

そして回収したペットボトルなどプラスチックは細菌によって分解する。この細菌は「イデオネラ・サカイエンシス201-F6株」と名付けられ、大阪府堺市のリサイクル工場で見つかり、ペットボトルなどに使われるポリエチレンテレフタレート(PET)を分解して栄養源としている。現時点では厚さ0.2ミリのPETを、約1カ月で二酸化炭素と水にまで分解するとされている。プラウトヴィレッジが広がりプラスチックゴミが新たに生み出されなければ、時間がかかっても世界中で分解してゼロにすることができる。


気候変動と海面上昇に対して

プラウトヴィレッジを構築するということは、地球の自然環境を限りなく元の自然な状態に戻すということ。世界的な気候変動は様々な要因が考えられているが、車の排気ガスや森林伐採など、人為的な悪影響の部分はプラウトヴィレッジを構築することで解決される。

また気候変動とともに温暖化によって南極と北極の氷が溶け、海面上昇も起こっており、各地の小さな島が海に沈むと懸念されている。プラウトヴィレッジはこういった島に住む人々の受け入れ先ともなる。

さらに、プラウトヴィレッジを世界中に構築して環境破壊が限りなくゼロになったとし、それでも海面上昇が止まらない場合、その原因は地球や宇宙の活動によるものとなる。そうなると人間にできることは、住む場所を内陸に移動させることだけとなる。


最後

2011年の福島の原発事故の時、多くの人々が自分に何かできることはないかと考え、行動を起こし、また無力さも感じた。そしてこれからプラウトヴィレッジが人々に促す具体的な行動はプラウトヴィレッジへの移住で、それが最も影響力があり、すべての社会問題の解決につながる。


【プラウトヴィレッジ】久保田 啓敬 (著)