6章 プラウトヴィレッジについて

○サーカーのプラウト主義経済

1959年に、インドの哲学者P.R.サーカーは、プラウト主義経済(PROUT)を提唱している。これは「Progressive Utilization Theory」の頭文字をとったもので、資本主義や共産主義に代わる経済理論。下記はその要点。

・人間には物質、知識、精神があり、その3つのバランスが重要である。
・人間は幸福を無限に追求しようとするが、物質的なものはそれを永遠には満たせない。満たせるのは無限につながる精神だけ。
・精神性の実践、文化遺産、教育、固有の言語表現という4つの基本的な権利の保障。
・世界連邦を樹立して人類の統合を目指す。
・地域での自給自足を推進する。
・土地など天地万物は人類の共有財産。その管理運用の権限は、精神性が高く、ふさわしい能力のある人に与えるべき。
・世界中の全ての人々が食料、医療、教育、住居といった生活に必要なものを享受できるようにする。
・地球上の全ての動植物の完全な安全が保障されること。
・科学技術の進歩だけが人間を幸福にするものではない。マイナス面が完全に除去され採用される新発明は人類にとって完全な進歩だが、除去できなければ採用しない。


○プラウトヴィレッジの社会構造

サーカーがプラウト主義経済を提唱したのは1959年で、時代はそこから変化している。このプラウト主義経済を現代版へ発展させたのが、プラウトヴィレッジとなる。

サッカーのプラウト主義経済では世界連邦を樹立することの必要性を唱えているが、ではここまで見てきた人間の本質的な在り方や現代の科学技術も加え、家庭から世界連邦までのプラウトヴィレッジの社会構造を見ていく。常に下位の組織は上位の組織へ権利権限の一部を譲る関係になる。

1、州が集まり構成される世界連邦
2、県が集まり構成される州(現在の国に相当)
3、自治体が集まり構成される県  (現在の都道府県に相当)
4、家庭が集まり構成される自治体(現在の市に相当するプラウトヴィレッジ)
5、自給自足を行う家庭

自治体(プラウトヴィレッジ)、県、州、世界連邦には共通して総務、医食、製造、設計の4つの組織が設置され、各規模に応じて名前どおりの活動を行う。

◯世界連邦
◯州
◯県
◯自治体
・総務 (自治体運営に関する事務的な事柄)
・医食 (医療、食、農業に関すること)
・製造 (生活品全般の製造)
・設計 (資源調査、インフラ設計、住居や農地の位置など自治体設計)


○自治体(プラウトヴィレッジ)

自給自足を行う家庭が集まり自治体であるプラウトヴィレッジを構成する。プラウトヴィレッジでは6万人規模の自治体が多くなる。住民の交流や取り組みが行われる学校のような中心的施設は、多目的施設として自治体の中心部に建設される。多目的施設もドームハウスで運営館、製造館、芸術館の3つの施設から構成され、その地下に地下駐車場と全自動運転車用の地下トンネルが作られる。自治体周辺に歴史的建造物、寺院、神社仏閣などがある場合は、最寄の自治体が管理する。


フラワーオブライフという形のプラウトヴィレッジ

自治体であるプラウトヴィレッジの建設位置は、地震、津波、地すべりなど自然災害が起きることを想定して、危険度が高い場所は避ける。海沿いと川沿いは津波や洪水で浸水する。数百年前の地震の教訓として石碑や文献が津波のやってくる位置を示していることがあるので、それも参考に決定する。

プラウトヴィレッジの住居の配置は現代のような直線的な配列はやめ、円を基本としたフラワーオブライフという模様で住居を配置していく。人間の意識は常に空間によって影響される。例えば四角の机のように人と人とが向かい合い、直線的な関係にある時、相手と自分という意識が形成されやすい。すべての人々が円形の中央に体を向けるとき、隣に座る人々はみな、同一の対象へと向かう共感する人として意識され、共同する意識が生まれやすい。こういった理由もあり、次の図のように住居は円を基本として配置する。画像中央の白い丸は、一人暮らし住居。黄色は家族用住居。

このプラウトヴィレッジと呼ぶ自治体が一つの街の単位。まず住居が円形で作られ、次に6戸の住居が円形に配置され、その円が7個集まり新たな円を作りというように、すべては円形に配列される。その中央に多目的施設である運営館、芸術館、製造館が配置される。

多目的施設がある直径444mの円は中央広場であり、野球のスタジアムが4つ入る大きさで、スポーツ、祭り、コンサートなど広さが必要な用途に使用する。芸術館がある円には体育館も併設される。こうして生活のすべては、直径4km(半径2km)の円内で完結し、自転車で移動できる距離となる。

2015年の段階で日本の世帯人数は平均2.5人ほどだが、それは都市部に単身世帯が増えていることが理由でもある。次の数字は江戸時代から現代までの世帯人数の推移。

江戸時代 1600年代 6〜7人
江戸時代 1750年代 4人
大正・明治時代 1868年〜1926年 世帯平均人数5.02人
昭和時代 1950年代 世帯平均人数5人(夫婦に子供3人)
昭和時代 1970年代 世帯平均人数3.69人
平成時代 2010年代 世帯平均人数が2.51人 子供がいない夫婦も多くなった

こういった平均人数の中で、5〜6人家族がプラウトヴィレッジでは平均的になると予測する。フワラーオブライフの街にすると、全家庭が5人家族の場合、7万560人が一つのプラウトヴィレッジに住めることになり、全家庭が3人家族の場合、4万2336人が住むことになる。


プラウトヴィレッジが直径4kmの円の理由

・街の端(はし)から中央の多目的施設まで2kmだが、歩いて片道30分の距離となる。一般的にこの距離であれば気分良く散歩ができる。しかし片道45分〜1時間の場合、行きは歩けたとしても帰りの負担は大きくなる。プラウトヴィレッジ内の活性化のためには、気分良く歩いていける距離の街にしておく。

・歩いていける距離であれば自転車でも通える範囲となる。プラウトヴィレッジ内での自動車の行き来を減らすために、自転車と徒歩で通える範囲にする。また中学生くらいの第二次成長期をむかえる前の子供にとっては、3km以上を自転車で通うとなると遠さを感じる。また現代社会の場合、親も自動車事故などを心配して遠い距離を自転車で通わせることをためらう。プラウトヴィレッジでは毎日街の中央の多目的施設に通うと仮定して、小さい子供も自転車で移動できる2〜3kmに住居を配置するよう配慮する。つまり直径4kmという大きさは、大人も子供も徒歩や自転車で気軽に通える限界の距離となるので、街の一つの目安と考えることができる。

・直径4kmの円で住居を配置した場合、全家庭が10人ずつ住めば最大で約14万人が住むことができる。それは現実的には起こりにくいが、プラウトヴィレッジには平均的に6万人前後になると予測している。理由は日本は少子化により人口が2055年には9193万人になるとされ、つまり2000年代初期から比べると、約3000万人は人口が減る。これは各プラウトヴィレッジの人口が1万人ずつ減る人数となる。もし日本の人口1億2700万人をプラウトヴィレッジの数で割ると7万人が住民数となるが、人口減少で6万人が平均的になると推測できる。最大14万人住める街に6万人が住んでいるという状態にしておけば、近隣で災害が起こった場合、被災者を受け入れる部屋が住居内に余っているということでもある。

・フラワーオブライフ以外のデザインも今後の研究によって生み出されていくことが予想されるが、現時点ではこのデザインが普遍的なものとしてスタートに適している。


プラウトヴィレッジの建設位置と数

日本は地震がよく起こる国で、併せて津波の危険性もある。日本の津波の歴史を200年という時間枠で振り返ると、どこかの地域が大きな津波に襲われ、それによる死者が出ている。つまりプラウトヴィレッジを海沿いに建設するということは、200年のうちに何個かは津波に飲み込まれるということになる。2011年の東日本大震災では津波が内陸10kmまで押しよせた。日本は海沿いから10km内陸に行くと、多くの場合、山が見えてくる。よって日本は居住地を山間部に作るべき国ということが見えてくる。

また、西日本の大陸のプレートは複数のブロックに分かれているという指摘があり、過去のデータからプレートの境目では巨大地震が起こりやすくなっている。従来のプレートの考え方はデータが乏しい時代に作られたものであり、それを見直している2人の博士のプレート位置をまとめたものが下の地図である。これは京都大学防災研究所地震予知研究センターの西村 卓也准教授と、アメリカ・ハーバード大学のブレンダン・ミード教授のプレートを重ねて表示したもの。

緑色の線 大陸プレート(西村 卓也准教授とブレンダン・ミード教授の考えを重ねたもの)
赤色   プラウトヴィレッジの建設可能位置の目安。1つの赤丸は直径4km。
(海岸から内陸10kmとプレート周囲4kmは避けている)
青色の丸 福島県の原発から50kmの範囲

プレート周囲4kmを避けているが、マグニチュード9クラスの巨大地震が起きた場合、震源から10〜20kmも結局のところ大きく揺れる。重要なことは日本に住んでいれば、どこでも地震が起こるので、住居そのものを巨大地震が起きても大丈夫なものにするしかない。家が倒れず、物が上から落ちてこなければ、死者がでるようなことはほとんど避けられる。そのために家具や照明の配置の仕方などに工夫を加えることになる。

日本の国土面積37万7900㎢のうち、33.6%の12万7000㎢ほどが居住可能面積とされている。その中に2942個のプラウトヴィレッジの建設が可能。その中で4151万7504個の住居が建設できるが、2016年時点での日本の世帯数は5185万世帯であり、一人暮らしが1680万世帯となっている。よって各プラウトヴィレッジには1100個ずつ、計5人が住む一人暮らし専用住居も建設する。そうすると合計3841万個の住居数で足りる。使用されていない住居は、外部からやってきた人々の宿泊施設となる。また上の地図のプレート上にも住居を建設すれば、さらに多くのプラウトヴィレッジの建設が可能。

現在日本は少子化が進んでおり、2020年には1億2410万人、2030年には1億1662万人、2055年には9193万人と人口が減少することが予測されている。つまり住居数は年々少なくなっていく。

この作り方は言い換えると、どこにも都市を作らないということであり、日本以外の国にも当てはまる考え方。自治体の住居数の上限を決めておくことで、都市化するのを防ぐ。都市化すれば東京や大阪のように時間とともに人が集まって規模が拡大し、一極集中型になり、災害に脆(もろ)い状態に陥る。また自然や農地と人口のバランスが悪くなり、大災害が一つ起きれば都市の市民は食べ物を得る手段がなくなる。

●北海道地方
合計682ヴィレッジ、住居962万4384戸。
1世帯5人の場合4812万1920人の居住が可能。
2016年時点の人口は547万4000人なので、プラス4264万7920人が住める。

●東北地方
合計523ヴィレッジ、住居738万576戸。
1世帯5人の場合3690万2880人の居住が可能。
2016年時点の人口は902万1000人なので、プラス2787万9000人が住める。

※カッコ内は2016年の人口
福島  84ヴィレッジ 118万5408戸 592万7040人(199万2000人)
宮城 107ヴィレッジ 150万9984戸 754万9920人(230万3000人)
山形  51ヴィレッジ  71万9712戸 359万8560人(116万人)
岩手 127ヴィレッジ 179万2224戸 896万1120人(131万8000人)
東北  89ヴィレッジ 125万5968戸 627万9840人(108万6000人)
青森  65ヴィレッジ  91万7280戸 458万6400人(138万3000人)

●関東地方
合計663ヴィレッジ、住居935万6256戸。
1世帯5人の場合4678万1280人の居住が可能。
2016年時点の人口は4260万人なので、プラス418万1280人が住める。

※カッコ内は2016年の人口
神奈川 33ヴィレッジ 46万5696戸 232万8480人(907万2000人)
東京 31ヴィレッジ    43万7472戸 218万7360人(1335万人)
千葉 86ヴィレッジ  121万3632戸 606万8160人(614万8000人)
埼玉 119ヴィレッジ 167万9328戸 839万6640人(715万人)
群馬 103ヴィレッジ 145万3536戸 726万7680人(199万1000人)
栃木 128ヴィレッジ 180万6336戸 903万1680人(198万9000人)
茨城 163ヴィレッジ 230万256戸 1150万1280人(296万人)

●中部地方
合計342ヴィレッジ、住居482万6304戸。
1世帯5人の場合2413万1520人の居住が可能。
2016年時点の人口は2172万人なので、プラス241万1520人が住める。

※カッコ内は2016年の人口

岐阜 52ヴィレッジ 73万3824戸 366万9120人(206万9000人)
愛知 46ヴィレッジ 64万9152戸 324万5760人(726万3000人)
静岡 22ヴィレッジ 31万464戸  155万2320人(375万1000人)
山梨 30ヴィレッジ 42万3360戸 211万6800人(85万5700人)
長野 74ヴィレッジ 104万4288戸 522万1440人(214万6000人)
福井 29ヴィレッジ 40万9248戸 204万6240人(80万3200人)
石川 3ヴィレッジ    4万2336戸 21万1680人(115万7000人)
富山 29ヴィレッジ 40万9248戸 204万6240人(108万8000人)
新潟 57ヴィレッジ 80万4384戸 402万1920人(236万5000人)

●近畿地方
合計259ヴィレッジ、住居365万5008戸。
1世帯5人の場合1820万4480人の居住が可能。
2016年時点の人口は2079万2000人なので、258万7520人は他地域に移住が必要。

※カッコ内は2016年の人口
大阪 29ヴィレッジ 40万9248戸 204万6240人(886万3000人)
奈良 25ヴィレッジ 33万8688戸 176万4000人(140万1000人)
和歌山 4ヴィレッジ 5万6448戸 28万2240人(101万9000人)
兵庫 77ヴィレッジ 108万6625戸 543万3120人(557万2000人)
京都 29ヴィレッジ 40万9248戸 204万6240人(254万3000人)
滋賀 57ヴィレッジ 80万4384戸 402万1920人(139万4000人)
三重   38ヴィレッジ 53万6256戸 268万1280人(183万9000人)

●中国地方
合計209ヴィレッジ、住居294万9408戸。
1世帯5人の場合1474万7040人の居住が可能。
2016年時点の人口は756万3000人なので、プラス718万4040人が住める。

※カッコ内は2016年の人口
岡山 77ヴィレッジ 108万6624戸 543万3120人(193万2000人)
鳥取  6ヴィレッジ     8万4672戸   42万3360人(58万8700人)
広島 89ヴィレッジ 125万5968戸 627万9840人(117万4000人)
島根   0ヴィレッジ                                0人(71万3100人)
山口 37ヴィレッジ  52万2144戸 261万72人(144万5000人)

●四国地方
合計46ヴィレッジ、住居64万9152戸。
1世帯5人の場合324万5760人分の居住が可能。
2016年時点の人口は414万2000人なので、89万6240人は他地域に移住が必要。

※カッコ内は2016年の人口
香川 11ヴィレッジ 15万5232戸 77万6160人(100万6000人)
徳島  4ヴィレッジ   5万6448戸 28万2240人(78万6600人)
高知 12ヴィレッジ 16万9344戸 84万6720人(75万9700人)
愛媛 19ヴィレッジ 26万8128戸 134万640人(144万1000人)

●九州地方
合計218ヴィレッジ、住居307万6416戸。
1世帯5人の場合1538万2080人の居住が可能。
2016年時点の人口は1323万人なので、プラス215万2080人が住める。

※カッコ内は2016年の人口
福岡 47ヴィレッジ 66万3264戸 331万6320人(146万4000人)
大分 25ヴィレッジ 35万2800戸 176万4000人(119万7000人)
佐賀 20ヴィレッジ 28万2240戸 141万1200人(85万3400人)
長崎 0ヴィレッジ (143万1000人)
熊本 37ヴィレッジ 52万2144戸 261万720人(73万4500人)
宮崎 46ヴィレッジ 64万9152戸 324万5760人(114万4000人)
鹿児島 43ヴィレッジ 60万6816戸 303万4080人(170万6000人)


平地と複雑地形の住居配置ルール

4kmの円(フラワー オブ ライフ)を配置できればそうするが、山間部では地形が複雑になっている。その場合でもまず中心に多目的施設を建設し、可能な限り円形に住居を配置していく。もし1戸しか建てれないような細い場所であれば、一直線に住居が並ぶこともある。その場合も、住居間は最低6m開ける。

◯まず自治体の中心となる場所に多目的施設を建てる。(右図)
◯地形に合わせて、優先度が高い順に直径4km、1333m、444m、148m、49m(住居6件)、16m(住居1件)の円の順で配置して隙間を埋めていく。(右図)
◯川沿いには建てず、過去の洪水データを調べ、川岸から数十m離して建設する。(左図)
◯山崩れ・斜面崩壊を考慮し、予測される土砂の到達位置以上に離して建設する。(左図は斜面と住居の距離が近すぎる可能性がある)
◯集中豪雨が2日続くと、山の斜面に挟(はさ)まれたせまい場所は濁流が押し寄せることを前提とする。(左図の山の斜面に川があれば危険度が高い)


斜面崩壊・山崩れについて

プラウトヴィレッジは山間部に位置することが多くなることから、山崩れを考慮したドームハウスと道路の建設位置を考えなければならない。山崩れ、崖崩れ、土砂崩れは斜面崩壊ともいう。これらは大雨や地震によって発生しやすくなる。よって斜面崩壊の影響を受けやすい麓(ふもと)には畑を作り、道路と住居は斜面から離して作る。

大雨による斜面崩壊が発生しやすい箇所として,次のようなところが挙げられる。まず地形条件からは、斜面の傾斜が30度以上の所、斜面の途中で傾斜が突然急になるところがある斜面、谷型(凹型)の斜面、上方に広い緩傾斜地がある斜面、などである。最後の2つは多量の水が集まりやすい地形条件。

土砂災害防止法による土砂災害警戒区域は急傾斜地の高さの2倍(最大50mまで)と定められている。急傾斜地とは傾斜角30度以上で、高さが5m以上の斜面をいう。

いつどこで崩れるかを予測するのは困難だが、崩れた場合、その崩土(ほうど)がどこまで到達するかはかなりはっきりしている。普通の崖崩れの場合、崖際から土砂の先端までの距離は崖の高さと同じ距離の範囲内にほぼ収まっている。中小規模の山崩れ・がけ崩れでは、崩土の到達距離は斜面の高さと同じ距離の範囲内にほぼ収まっている。ただし地面に傾斜があるとより遠くまで達する。土砂の横への広がりはあまりない。


自治体での推薦選挙と平安調査

プラウトヴィレッジにおける重要なことは現代とは異なり、社会を無理に発展させる必要はないということ。住民はプラウトヴィレッジでの生活でほとんどが完結し、貨幣社会のように忙しく働かなくても生活は成り立つので、社会の発展はすべての人が恩恵を受けられ、自然環境を破壊しない場合のみとなる。その選択ができる人物をリーダーに選ぶ必要があり、それにより平和で安定した社会を築くことが出来る。こういった人物が自治体や州の代表者になる必要があるが、貨幣社会の選挙制度では人格者が表に出てくることは少ない。

知名度や言葉上の公約が先行している現在の選挙制度には大きな問題点がある。それは有権者は限られた情報の中から誰かを選ばなければならない点で、多くの人はテレビ、新聞、街頭演説などの限られた情報からでしかその人物を判断することができない。仮に立候補者の活動的な姿や笑顔ばかりがテレビに映れば、有権者への印象はよくなるが、それは政治活動中の姿でしかない。つまり有権者は投票する人物が本当はどういった人物なのかが理解できないまま投票することになっている。

こういったことを解決する選出方法として、また人格者を選出するため、自治体内で住民による推薦選挙を行う。こうして選ばれた自治体の1長(首長)は、県内の1長が集まる県議会に参加する。県議会でも同じく推薦選挙で県長を選出し、その人物は州(国)の県長達が集まる州議会に参加する。州議会に集まる県長の中からは世界連邦へ参加する州長を推薦で選ぶ。

自治体から州まで、推薦選挙は次のルールで行う。
・各組織は、州長と副州長や自治体の1長と1副長のように2人1組で、男女の組み合わせで選出する。
・各組織は男女ほぼ同数で運営する。
・自治体から世界連邦まで、各長は男女交代制で行う。仮に今回は男性が1長や大統領であれば、副1長や副大統領は女性なので、次はその女性が1長や大統領となる。
・上位の組織の男性の長が解任や引退になった場合は、同組織の副長の女性が長となる。その後に一つ下位の組織の長か副長の男性が上位の組織へ繰り上がる。その下位の組織の欠員も同じように繰り上げ方式で埋めていく。
・世界連邦の大統領と副大統領、それに4つの組織(総務、医食、製造、設計)の長と副長の計10人は、六大州の交代制とする。よって六大州の中でも、州長を送り込む州の順番を決めておく。

自治体での推薦選挙は次のようになる。プラウトヴィレッジは上の図に見られるように5つの円の階層ができるので、1町会から5町会までの町会(ちょうかい)を組織し、各町会ごとに代表者である長(ちょう)と副長を立てる。

①直径4kmの円  1町会 (1長はヴィレッジ全体で1人、プラウトヴィレッジの首長)
②直径1333mの円 2町会 (2長はヴィレッジ全体で7人)
③直径444mの円   3町会 (3長はヴィレッジ全体で48人)
④直径148mの円   4町会 (4長はヴィレッジ全体で342人)
⑤直径49mの円  5町会 (5長はヴィレッジ全体で2352人、住居6戸の代表者)

 

2町会の2長7人の内2人がプラウトヴィレッジの1長(首長)と副1長になる。ここでも前任者が男性の場合、次は女性の1長を選出する。1長は2長たちによる投票で決まり、下位の階層の代表者も同様の投票で選出する。5町会は住民の住居がある円の住人から一人推薦する。下位組織の長か副長が、上位組織へ参加する。推薦選挙は5町会から始まる。上位組織の長が出た下位組織は、その都度、男女交代ずつで新しい長を立てる。

そして一年に一回、各町会でその長が継続すべきかどうかの判定投票を行い、長と副長は再選すればそのまま役目を維持する。もし再選されなければ残っている組織内の人から、ここでも男女交代ずつで長を選出する。その後、解任された長の出身の一つ下の町会から新しい長を1人上位の町会へ送り、その下位の町会は新たな長を選挙で決める。ここでも前任者が男性であれば、次は女性の中から選出する。この手順で年に1回の投票の際に新しい長が必要な時は、1町会から優先的に長を埋めていく。こうすることで、新しい長が1つ飛ばしで上位の町会に参加することを防ぐ。

これは住民が推薦選挙や長に対して無頓着になるのを防ぐと同時に、長が不適任だった場合に交代が容易にできるように。どの長も再選されなかった場合は、一度役職を失い、再び推薦されれば5町会から参加する。こうして世代交代の新陳代謝を良くする。

住民はもし近隣で問題が起これば、5町会の5長や副5長のもとに相談へ行く。そして必要であれば5長は近隣住民を集めて対話による解決を図る。それでも解決しないときは一つ上の階層の4長のもとへいき、より大きな問題として対話によって解決する。こうして問題が起こった時は対話により解決していき、各長は小さな組織で経験を積んで1長として育っていく。

推薦権は14歳からで、義務として行う。個人差があるので一括(ひとくく)りに線引きすることはできないのが前提だが、14歳というのは男女ともに第二次成長期前後であり、心と体が子供から大人へと目に見えて変わる時期なので、自分の意思もはっきりと持ち始める。

推薦権はその住居がある円に一年以上住んでいること。仕事などでもそうだが一年くらい近くで接してみないと人の内面は見えづらいため。

推薦選挙で選出する必要があるのは人格者。それを住民が見定めるためには、次のプラウトヴィレッジの運営・教育理念に合致している人物かを観察する。

プラウトヴィレッジの運営・教育理念

【人間の内面に向けて】
瞑想、好奇心、適職、天職を通じて無心になり、心の平安を達成し、自我と人生の苦しみを克服。

【人間の外面に向けて】
地球をプラウトヴィレッジで結び、全住民の過不足のない生活の保証。自然環境の保護。貨幣、戦争、争い、競争のない社会の維持。

平和で安定した社会は人間の内面から生み出される。そしてそれは内面を静かにしている人物のみが可能。つまりプラウトヴィレッジの長は、常日頃から無心になり思考と我欲を自制するよう努めている人物でないと務まらない。欲に振り回されている人物のもとでは、不平等な判断、不正、派閥、争いがおこる。

一年に一回の選挙の前、過去一年間にどのくらい意識的に「無心」に取り組んでいたかの平安調査を行う。その結果をオンライン上で公開し、住民はそれも参考にして5町会から推薦する人物を決める。またその情報が頭に入った前提で次の一年間、近隣住民と接し、一年後の選挙前に平安調査の結果を見て、近隣住民の誰が5長と副5長に相応しいかを判断する。「無心」は瞑想、座禅、食事、歩行、何もしていない時、特技に取り組む、適職、天職など、いつでもなれる。
この調査は住民の内面の平安度・静寂度を図る生活調査で、無心の時間が多い人ほど平安度は高くなる傾向にある。現代のように幸福度という尺度で計ると、幸せは一時的で、幸せと苦しみは表裏一体のため正しい答えは得られない。内なる平安、静寂、平和を実践している人物が自治体の運営判断でも平和的な選択をする。それが世界中で行われれば、戦争や争いを仕掛ける自治体や州は現れない。

平安調査の内容は次のようなものになる。

1、日々、平均的にどのくらい平安か?
回答、(不幸) 0、1、2、3、4、5 (平安)、6、7、8、9、10 (幸せ)

2、瞑想で無心
睡眠以外で1日に座禅、散歩、食事などで、意図的に瞑想し無心になる合計時間は平均的にどのくらいか?
回答、「 」時間 (0〜24時間)

3、活動で無心
1日に好奇心、適職、天職の活動を通じて、無心になる合計時間は平均的にどのくらいか?
回答、「 」時間 (0〜24時間)

このようにして、1つ目の10段階の平安度を棒グラフで表し、その中に2つ目3つ目の質問の無心の平均時間も棒グラフで重ねることで、平安と無心の関係性をグラフで視覚化する。

また推薦で選ばれた人物が長として適しているかは、平時(へいじ)と有事(ゆうじ)での行動パターンにも現れる。問題のない平時の時はリーダーとしての行動力よりも、決められたことを確実にこなすことが求められる。しかし災害や住民の不満が噴出するなど有事の場合には、その問題解決に向けて積極的な行動を起こし、解決する能力が望まれる。その解決の際も、暴力や脅しではなく、愛情を根底とした方法でなければならない。例えば日常生活で厳しいことをいう先輩や上司がいたとしても、その人が愛情を持って指摘しているのであれば、指摘された側からの信頼を失うことはない。さらにその指摘が本質的で効果的なものであれば信用すらも増す。それは理屈ではなく感じるものであり、プラウトヴィレッジの長からもその愛情が感じ取れるかが鍵となる。つまり心は平安で、平時の際は仕事をきっちりこなし、有事の際は愛情を根底とした行動力と解決能力を持っている人物を見極め、推薦する。


県、州、世界連邦の推薦選挙と繰り上げ方式

自治体の1長と副1長が集まり構成されるのが県議会。県議会の中でも男女の県長と副県長、そして4つの組織の長と副長を推薦で選出する。

2000年の段階で日本には都道府県が47個あった。日本国を州とした場合、47人ずつ県長と副県長がいることになる。その計94人は数年から数十年単位で長を担うと考えられ、お互いを知り合う時間と距離の近さもある。この94人の県長の中から推薦選挙で日本州の州長と副州長を選び、世界連邦へ参加する。この州長と副州長も必ず男女一人ずつとし、今回は男性が州長なら次回は女性の州長を推薦する。

次に世界連邦の大統領選出について。2000年の段階で世界には約200の国が存在した。つまり200人ずつ州長と副州長が存在する。この計400人が顔を合わせる頻度は年に1〜2回と考えられる。つまりお互いを知る時間はほとんどないので個人情報が少なく、推薦選挙の効果は見込めない。また大陸によって州(国)の数は異なる。その中で推薦選挙を行うと、推薦者は自分に文化が近い州長を推薦する可能性があり、州数の多い大陸から世界連邦の大統領や各組織の長が生まれやすくなる。また別の側面として、この時点で州長と副州長は数百万〜数千万人の中から選ばれた人格者という段階でもある。よってすべての州長と副州長は世界連邦へ参加する。その中で、世界連邦の運営組織の長と副長は六大州(ろくだいしゅう)で均等に分ける。現時点では世界連邦の運営組織は総務、医食、製造、設計という4つに大統領を加えて5つになる。この組織数がどこまで増えるかは未定だが、仮に5つで世界連邦が開始した場合、この運営組織の長は六大州(ろくだいしゅう)から2名ずつ計12人が交代制で担う。そしてその運営組織のサポートに他の世界中の全ての州長と副州長が参加して運営する。

六大州
①オセアニア州(紫色)
②アジア州(オレンジ色)
③ヨーロッパ州(赤色)
④アフリカ州(黄色)
⑤北アメリカ州(黄緑色)
⑥南アメリカ州(深紫色)
五大州

例として、もしオセアニア州(紫色)の女性の州長が世界連邦の大統領を担当していて死亡などで亡くなった場合、その時の副大統領は男性という仕組みなので、その男性が次の大統領となる。そして世界連邦内の運営組織の長や副長である残り5人の女性の中から副大統領を推薦選挙で選出する。副大統領選出により欠員が出た運営組織の副長を長とし、その副長にはオセアニア州から女性の州長か副州長を一人加える。こうした繰り上げ方式で年々少しずつ世界連邦を運営する州長の顔ぶれが変わっていく。このために、六大州の中にある州(国)でも、世界連邦の各組織に参加する州の順番を決めておく。


町会と住居の住所

プラウトヴィレッジの住所は次のように設定する。最も北にある直径1333mの円を1番とし、そこから時計回りに2〜6番まで直径1333mの円に番号を割振り、7番は真ん中の直径1333mの円に割振る。同じ要領で444mの円、148mの円、49mの円にも1〜7番まで割り振っていく。すると住所はPV11111からPV77777の間のどれかになる。フラワーオブライフのプラウトヴィレッジの場合は、PV11111が真北、PV77777は自治体の中心部分の広場になる。もし縦長のプラウトヴィレッジの場合は、同じ要領で北から南へ番号を割り振り、横長の場合は東から西に番号を割振る。

州などが定まってくれば、住所は「州名、県名①、地域名②、PV54123」となる。県名①は都道府県、地域名②は市にあたる。また町会はプラウトヴィレッジ内に数多くできるが、町会の名称はその階層により変わる。例えば「地域名②、PV6774、5町会」、「地域名②、PV32、3町会」、「地域名②、1町会」のように。

①直径4kmの円  1町会 (1長はヴィレッジ全体で1人、プラウトヴィレッジの首長)
②直径1333mの円 2町会 (2長はヴィレッジ全体で7人)
③直径444mの円   3町会 (3長はヴィレッジ全体で48人)
④直径148mの円   4町会 (4長はヴィレッジ全体で342人)
⑤直径49mの円  5町会 (5長はヴィレッジ全体で2352人、住居6戸の代表者)


自治体運営で判断が難しいと予測されること

もしある住民が自治体に野球場を作りたいと言い出した場合、それを一つ認めるとサッカーコートを作りたいという人物も出てくることになる。さらにはサーキット場を作りたいという人物も出てきて、ゴルフコースを作りたいという人物も出てくる。さらに、あそこの自治体はバスケットコートを作ったが、どうしてうちの自治体は作ってくれないのか?という不満も出てくる。他にも、大規模な研究施設が必要だから建設したいという提案もある。まず大事なことは世界中で共通の優先順位を持つということになる。

①地上の自然は、どこまでも100%に近い状態を維持する責任が人間にはある。自然環境の維持率が80%や50%になれば生態系は変化し、天候にも影響し、巡り巡って人間にも悪影響を及ぼす。

よって多目的施設での活動、住居、道路、食物栽培以外の自然破壊は0にすることが前提となる。もしそれでも施設建設が必要な場合、まず地下に作ることを検討する。地下であれば、自然環境への負荷は地上よりも低くなる。あとはその場所の地盤沈下を起こさせない対策をする。

地下に作れない大きさの施設であれば、複数の周辺自治体と話し合い、求められている全ての施設をリストアップし、どの自治体にどの施設を分散して建設するかを検討する。その際も、一つを作れば今後さらに施設建設を求める声が出てくることを前提に対応策も検討しなければならない。これら全ての決定責任は1長(首長)にある。

②地上でのスポーツの施設建設の要望がでた場合、野球やサッカー、格闘技、レースなど、対決系のスポーツに対しての設備は作らず推奨もしない。それらは競争心を煽(あお)り、「勝った自分は相手より上だ」と優越感などエゴを強めることになり、恨みを買うことにもつながる。勝利は一時的な満足感でしかなく、やがて苦しみになる。プラウトヴィレッジは人間の内面の平安を達成する事柄には力を入れていく。ただこういったスポーツをすることは個人の自由なので禁止ではない。プロスポーツ文化は貨幣社会で生まれるもので、それは莫大な利益を生み出す。それがメディアによって宣伝されるため大衆娯楽となるが、貨幣がないプラウトヴィレッジではそのような現象は起こらない。

③住民に死の危険性を感じさせる規模の活動について。ロケットや人工衛星を飛ばしたいという要望や、科学的な巨大実験の要望なども予測される。その活動の影響力が大きく、住民に死亡の可能性を感じさせる時は、通常の自治体ではできないことが多くなる。よって要望者はそれを実現可能な地理的条件の揃った自治体に交渉する。その自治体単体で判断がつかない時は近隣とも話し合い、それでも解決しなければさらに規模を広げて話し合う。

そして全自治体が認識しておかなければならないことは、プラウトヴィレッジでは科学の発展は最優先事項ではないということ。自然環境の維持と住民の内面の平安を実現する暮らしが最優先事項になるので、社会的大義名分がない大きな実験や化石燃料を使う実験、大規模施設の建設などは見送ることが前提となる。ただネガティブな要素の少ない要望に関しては、できるだけ実現していくことも自治体の業務となる。


プラウトヴィレッジの農地

プラウトヴィレッジ内で食物の栽培を行うが、周辺にもたくさんの土地が余るので、そこで農業を行う。1人約153坪(23m×23m)が目安となる。住居近くの土地が限られているときは、野菜や果物など頻繁に収穫する作物の畑は住居近くに、米など年に1~2回の収穫の作物は、少し離れた広い土地で作り、場合によってはプラウトヴィレッジの外側でも作る。その場合は、近隣自治体と話し合って利用範囲を決める。

さらに食物をより安定的に、そして量を多く得るために運営館には水耕栽培の施設を建設する。また火山国の日本では噴火による火山灰によって作物が食べれなくなる時もくるので、こうした屋根がある施設で食べ物を作っておく。


栽培環境の整備

道端に生えている植物の多くは繁殖力の強いものが多いが、自治体に食物栽培に適さない荒地があれば、まずその繁殖力の強い植物を植えて栽培環境を整える。こういった植物が根付くとそこに生息する昆虫やそれらを餌にするクモやムカデ、そしてネズミ等の小型哺乳類や小型の鳥といった小動物が現れ始め、それらが生死を繰り返すことにより土壌が肥沃化していく。現在は草刈りが必要などで雑草と呼ばれ迷惑がられているが、プラウトヴィレッジではこういった植物の力を借りて自然環境を整え、どこもが自然で溢れるようにする。

繁殖力の強い植物は数多く存在する。例えば地面に沿って茎が長く伸びていくクローバー、林や藪の草木にからみついて成長するカラスウリ、成長が早いニワウルシ、熟した豆を食用にできるヤハズエンドウ、地面を這って伸びるヘビイチゴ、高さ10〜60cm程になるキレハイヌガラシ、黄色い小さな花をつけるイヌガラシなどがある。

またハーブとして料理、菓子、酒などの材料になるミントも繁殖力が強い。例えば爽快な香りや清涼感があるニホンハッカ、耐寒性が強く防虫効果があるペニーロイヤルミント、生命力が非常に強いペパーミント、ハーブとして用いられた歴史が古いスペアミントなど、この他にも数多くの種類が存在する。どんな地域でも耕作に適していない土地があればまずこういった繁殖力の強い植物を生い茂らせ、栽培環境を整えてから作物の栽培を行っていく。


プラウトヴィレッジの公共工事

プラウトヴィレッジでは物質的にも満たされることにより貧困がなくなり、それによって犯罪もなくなるので鍵をかける必要性はないが、初期においての鍵の設置は居住者の判断に任せる。そして引越しの際は家財道具を置いていき、次の居住者はそれを利用する。このようにして誰でも好きな所に好きな人と住むことができる。よって子供は自由に好きなところで住めるので、親より子供がしっかりしている場合、親に愛想をつかした子供が家を飛び出し他の場所で自立して生活しているようなことが起こりえる。

家を建てる場合は設計部が、円形の配置を基本として地域のどこにドームハウスを建てるか話し合う。住居は中央に配置された多目的施設から円形に広がるように配置する。住居の建設の際は建物の領域を示すような柵や塀は作らず開放的な設計にし、隣の家の音が聞こえるような住居の間隔は避ける。

自治体内の道路は信号、道路標識、柵、塀、ガードレールは作らず、アスファルトも使用せず、土や芝生などで整備して自然を優先する。ただ隣の自治体までは災害時の救助などに使用する大型車が通れるくらいの土の道路は確保しておく。

自治体の道、山道、建物の位置は人間よりも自然の都合を優先する必要があるので、設計部が中心となってそれらの位置設計を進め、大樹は伐らずに残す。地上の道路は土や芝生にしておくことで、落ち葉が分解され、栄養となる。自治体の道路作りの基本として、交差点などの死角を作らないことは頭に入れておかなければならない。よって四つ角に建物があるような町づくりは始めから避けていく。

そして車が通らない野原などには道を作らず、人が自由にコースを決めて歩けるようにし、社会にはゴミがなくなるのでどこでも裸足で歩けるようになる。夜になれば住居と道路の電灯が光ることになるので、電灯はすべて照明芸術として設計し、夜の景観向上に努める。ただ景観向上に影響力を持たない場所の電灯は、人感センサーなどを使用して通行がある場合にだけ点灯するようにし、それ以外の時間は闇にして星が見えるようにする。河川も現在のようなコンクリートで固められた堤防の建設は避け、自然のままの景観を維持する。よって豪雨によって川が氾濫する恐れのある場所には建物や農地を作らないことが基本となる。こういった制約を守ることで地上には必要最低限の建造物と土の道路だけとなり、後は自然で溢れかえることになるので、家の近所で野生動物が草を食べる光景を見ることができるようになる。

各家庭のインターネットや電話はアクセスポイントから接続するが、通信ケーブル、電線、上水道はすべて地中に埋設して、家庭と運営館のIT電力水道管理室を結ぶ。そしてこれら地中の配線は土の道路の下に作る。これにより工事の際に植物を掘り返すことがなくなる。そしてIT電力水道管理室から地下トンネルへつなげることによって世界全体とつながる。


自治体でのサーバー、人工知能、3Dプリンタ、IoT

今後の科学技術の進化を考えると、プラウトヴィレッジも構築当初から人工知能などを積極的に取り入れていく。自治体は住民用のサーバーを用意し、3Dプリンタで作られた全ての家電はIoTで使用履歴がデータ保存され、人工知能がそれらを分析する。下記は分野別の人工知能の使い方。

◯自治体
サーバー、人工知能、3Dプリンタ、携帯電話、アプリをつなぐ。これらと住民のアプリや家電につなげ、行動履歴を機械学習する。気候、人口、収穫物など事務的な事柄も人工知能で管理。IT電力水道管理室の運営。

 

◯生活品
一家に一台3Dプリンタ。指紋認証などのログイン制。全てIoT。自宅の家電履歴や医療履歴がログイン制により残る。どの場所でも指紋ログインすれば自分用に設定が変わる。声で指示するシステム。スピーカー、照明、炊飯器など家電は全て携帯電話のアプリから操作。画面操作は目線でマウスを動かし、ウインクで右クリック、左クリック。思考か声で文字入力。3Dプリンタ用アプリ。翻訳システム。

 

◯農業
作物の成長確認と収穫。

 

◯医療
健康診断ではCTスキャン、MRIで体内を撮影後、人工知能で病気や虫歯を検出。指紋認証などのログイン制で医療履歴を残す。

 

◯家
玄関と窓の鍵の自動ロック。風呂の温度調整。部屋と車の自動温度調節。車の自動運転。ドローンによる輸送。センサーで土壁の強度測定。


自治体での交通手段の自動運転車

人間が車を手動運転している間は、交通事故がゼロになることはない。またプラウトヴィレッジでは飲酒運転を取り締まる警察がいないため、それへの対策がないと悲惨な事故が起こる。これらを防ぎ、交通事故ゼロをプラウトヴィレッジでは目指す。そのため、自家用車は全て完全自動運転の車となり、手動運転の機能はない。住民の移動の流れとしては、住居から多目的施設までは地上を時速20キロを上限とする自動運転車、多目的施設から別の地域へは自動運転車用の地下トンネルで高速自動運転、そして別の地域で地上に出て時速20キロで移動となる。

こうして子供、高齢者、酒を飲んだ人など全住民は、携帯電話で行き先を指定して移動する。こういったことにより、子供から高齢者まで世界中の人が無料で、人身事故の可能性を限りなくゼロに抑えたまま、どこでも移動できるようになる。

この自動運転車の地上での最高速度は20キロで、それ以上スピードがでない設定とする。もし時速30キロの車に歩行者がはねられた場合、その死亡率は10%ほどで、時速50キロでは80%以上となる。つまり20キロ以下で走り、さらに自動ブレーキによってぶつかる確率を限りなく低くする。そして万が一当たっても死ぬ確率はかなり低くなる。

大人の歩行速度は時速6キロほどで、子供は時速3.5キロほど。つまり自治体の端(はし)から中心まで2kmの距離なので、大人の徒歩で30分かかるが、時速20キロの車では10分ほどで到着する。プラウトヴィレッジでの生活にはスピードが求められるような仕事はなく、誰もがのんびり過ごしている。つまり早く走る車は必要なく、安全が第一優先になる。

これにより、自治体内での交通事故と死亡事故は限りなくゼロに近づく。この自動運転車は緊急患者も運べるように、二人ほどが横になれる大きさの作りにし、運転席は設けず、全員が内向きに座れるようにもする。運転席を作らない理由は、飲酒運転を取り締まる警察がいないためで、酔っ払った人物が急に運転を始めてしまわないため。ただ場合によっては小回りが必要であったり、車の向きを変えたい場合もある。その時のために、ラジコンのコントローラーのように携帯電話などに簡易に遠隔操作できる機能は持たせておく。

住民はこの自動運転車を、住居に停車できる分だけ所有することが可能となる。もし技術的に完全自動運転が行えない場合は、土の道路の下にあらかじめ自治体のルートを設定したセンサーを設置し、無人運転を可能にする。

場合によっては時速20キロの車に人がぶつかって、打ち所や倒れ方が悪く亡くなる可能性もある。こういったことは徒歩より遅い時速5キロでも起こる可能性がある。つまり最大時速何キロが、車の機能を果たしつつ死亡事故もゼロに抑えるかという線引きの問題になってくる。よって現時点では時速20キロがこの2つの条件を満たすラインとし、プラウトヴィレッジへの移住者には、移住前に自動運転車など自治体での事故死は全て自己責任であることの了承をとることになる。


自治体での活動

自治体の多目的施設は主に自治体運営、製造、芸術活動などに利用され、入学や卒業という概念はなく、気づけば親や友達や近所の人に誘われ利用していることになる。多目的施設は24時間利用可能で、赤ちゃんから老人までの交流の場となる。その中で自分が何か興味のあるクラスや団体に出会えば参加する。自治体内の空いている住居は宿泊施設とし、他地域からの訪問者に地域で落ち着いた文化交流が行えるよう宿泊場所を提供する。そして自治体のウェブサイトでは部屋の利用状況の確認や告知などができ、内外の情報交換に使われる。


学習教育

プラウトヴィレッジでは学校というものは存在せず、子供も大人も自分が学びたいと思ったことを好きな所で学ぶ。自宅や芸術館の部屋を使ってや、必要な施設がなければ自ら施設を構築するか設備の整った地域に赴く。自治体では誰もが学ぶ意欲が出た人のために学習教材をまとめておく。例えば読み、書き、計算など、それらを学びたいと子供や大人が求めたときに円滑に取り組めるよう教材をまとめておく。

学習スピードを高めるポイントは「実践に身を置くこと」と「その中でよく使われる技術や知識、そして好奇心を優先して取り組み、反復していくこと」である。こういったことを基本にしながら、親も子供と共に好奇心に従って日々を過ごしていく。


子育てから生涯学習の流れ(目安)

誕生〜

生まれた子供は物心がつく頃には親や友人に連れられて、近所や多目的施設で行なわれている様々なクラスに参加している。そこでは誰もが年齢に関係なく好きなことに取り組んでいる。自分の興味あるクラスがなければ自分で作る。そして好奇心に沿って活動していると、やがて天職・適職レベルのものごとに出会う。そうすると学びがより自主的になり、本人に必要な知識・技術を自ら学び取るようになる。周囲には教えてくれる友人や先輩もいる。また男子女子かかわらず食物の栽培方法、料理の仕方、掃除の仕方も学ばせたほうが良い。将来的には男子も自立し、一人暮らしをする可能性があり、栽培や料理ができなければ不便する。こういった生活の中で、親も周囲も共通して教育することは、プラウトヴィレッジの運営・教育理念。

【人間の内面に向けて】
瞑想、好奇心、適職、天職を通じて無心になり、心の平安を達成し、自我と人生の苦しみを克服。

【人間の外面に向けて】
地球をプラウトヴィレッジで結び、全住民の過不足のない生活の保証。自然環境の保護。貨幣、戦争、争い、競争のない社会の維持。

天職発見3年目以降

意欲的に天職に取り組むことを3年続ければ、技術・知識が非常に高くなり、自分のスタイルを築き、他者が簡単には真似できないレベルになっている。この時点では自信も持て、精神的にも一定の満足感を得ていることが多い。よって自分だけでなく他者にも喜んでほしい、幸せになってほしいという感情も芽生えていて、奉仕することも多くなる。天職を手にすると、意欲的に、高い集中力で、深く物事を考えることが継続される。また無の状態にもなっていることが多く、それは脳波がシータ波の状態で、その継続で起こることは、人間の本質や物事の道理・真理にたくさん気づき始めるということ。長く継続すればするほど、気づきは多くなる。よって思慮(しりょ)深くなり、人格・精神性も向上していく。こうして精神性が高まっていき、人格者への道のりを進む。やがて無心を意識的に継続することが当たり前のようにできるようになり、それによって苦しみが止んでいき、あらゆる執着を手放すことによって人生の内的な目的を果たす。こういった流れがあり、人生が終わる瞬間まで続いていく。


いじめを起こさないためのポイント

人間に自我(エゴ)がある限り、問題は何かしら起る。自我(エゴ)は思考によって劣等感、怒り、不満足、責任転嫁など他者に対してネガティブな感情を起こす。つまり自治体の取り組みとして、また親も子も瞑想によって無の状態にある訓練を子供が小さい時から習慣化し、エゴ(思考)をコントロールする術(すべ)を身につける。そうすることにより、自分の発言、行動を客観視できる能力を小さな頃から養わせる。

これを前提として、自治体ではさらにいじめをなくす仕組みに取り組む。現代社会でいじめが起きている場所はどこかと考えてみると多くの場合、学校、職場が大半を占める。これらに共通することは「一定時間、強制的に気の合わない人と同じ空間にいなければならない」ということ。人間には生理的にどうしても合わない人物が存在するのは事実。しかし現在の社会では学校を簡単に変えることはできず、次の職が見つかるかもわからないので簡単に職場を変えるわけにはいかず、いじめを簡単に回避することはできない。プラウトヴィレッジでは現在のような1日の大半を気の合わない人と過ごさなければならない学校や職場は存在せず、毎日8時間も一緒にいるようなことは起こらない。プラウトヴィレッジにおいて大事なことは、親や周囲の人間は子供であれ大人であれ本人がしたくないと言えば無理に続けさせず、好奇心に沿って、場所を変えてでもたくさんのことに挑戦させる。嫌なことがあった時にそれを忍耐強く続けるべきなのか、それとも回避すべきなのかは本人の直感に従って決めさせる。そういったことの積み重ねが、自己責任と自己解決ができる能力を育ませていく。

こういったことによって人間関係で生まれるストレスが大幅になくなり、いじめが起こることはなくなる。


節度ある人間関係を継続する沈黙

無心を習慣化し、毎日の人間関係でも必要最低限の会話に止め静かにしていると、人間関係で嫌な思いをすることが減る。反対におしゃべりが多いと何かしら嫌なことを言われ、時には自分も相手に嫌なことを言う時がある。こういったことは恋人や夫婦関係でも見られる。気の合う人とたくさん会話することは楽しいことではあるが、会話が増えるほど嫌な思いをするというパターンを知り、節度ある人間付き合いは節度ある会話と沈黙にあることを知っておくと悩みも減る。


非行、不良、反社会的勢力について

暴力団関係者に対する調査で、大人になり暴力団に入る人物には共通点があり、それは生まれてから20歳までの人格形成期に、親の愛情を十分に受けずに育った点があげられている。同じ共通点は10代で非行に走る男女にも通じる。他にも貧困家庭であったり、出身地域や国籍で差別を受けたことがあるという点もあげられている。さらにこの問題の根が深い部分は、愛情を受けずに育った人物が子供を持つと、子供へ愛情の注ぎ方をわからず、その子供も愛情が足りない状況で育つ悪循環に陥る。

プラウトヴィレッジでは貧困に陥る人は存在せず、よってどの親にも生活に余裕があり、子供に愛情を注ぐ時間は十分にある。よって問題は起こりにくいが、もし明らかに愛情が不足した家庭が見受けられればその異変は子供に非行という形で現れ、そうなった場合、自治体で子供を保護し、別の親代わりとなる人物が育てる余裕もある。こういったことは、住居や生活物資を誰もが無償で手にできて生活に余裕があるため可能となる。


路上生活者について

1868年頃、日本で明治維新が起こった時期に、イギリスでは路上生活者が存在していた。それから約150年が経った2018年においてもその問題は解決されていない。この間、たくさんの知識人や政治家が社会問題について取り組んできたが、それでも路上生活者の問題は解決されていない。これは貨幣社会という仕組みに問題があり、貨幣社会にうまく馴染んでいけない人は路上生活をするしかなくなる。

プラウトヴィレッジではこの問題は起こらず、誰もが住居や生活物資、そして教育を無償で生涯手にすることができ、貧困は世界中からなくなる。


結婚、子作り、性教育

結婚について、プラウトヴィレッジでは婚姻届などは存在せず、結婚するかどうかは両者の合意のみとなる。結婚をして子供を作るのか、それとも結婚せずに子供を作るのかは2人に任せられる。

そして生まれた子供を自分達で育てることが基本となるが、住民誰もが時間的余裕があるので、育児を助け合う余裕もある。子供が生まれれば両親の名前と本人の名前を自治体へ登録する。

出産については、女性は12歳前後で生理が始まり妊娠が可能になるが、現在の社会ではその10年後の22歳での出産でも早いと見られる傾向がある。これには経済力などの問題が存在するが、プラウトでは女性に体力があるうちの10代での出産も行う事ができ、その後の医療費の心配はなく、子供を何人作っても教育費がかかることもない。プラウトヴィレッジでは経済力の有無に関係なく子を持つことができ、子供のその後の生活の心配もなくなる。

こういった考え方が基本となり、性教育も家庭内もしくは自治体内でが基本となる。そのため、インターネットや本でいつでも説明できる動画を自治体で作っておく。


芸術活動

プラウトでは余暇が増えるので誰もが芸術活動に携わるようになり、それにより人間全体の感性が高まる。音楽や踊りもより自由で幅広いものへと進化する。アフリカ、ヨーロッパ、アジア、南米など、どの国の民俗音楽にも必ずそれに合わせた踊りがあり、それは何千年も前から続いている。そして現在はジャズ、フラメンコ、サンバ、レゲエ、盆踊り、ディスコ、ダンスミュージックと、時を経ても踊ることは続けられている。つまり踊ることは人間の普遍的な表現活動の1つであり、余暇が増え、誰もが喜びを感じて過ごすプラウトヴィレッジでは、ダンスも表現活動のひとつとしてより活発になっていく。

音楽などでは現在様々なジャンルのものが生まれているが、プラウトヴィレッジではそういったジャンル分けはなくなる。ジャンルというものは創作活動が金銭を得る手段となっている貨幣社会において存在する。視聴者が購入しそうな音楽を作ろうと思えば、過去に実績があり視聴者に馴染みのある音楽が参考となる。その連続がジャンルを生み出す。貨幣社会では誰かが購入しなければ生活も創作活動もおぼつかなくなるが、プラウトヴィレッジでは自分の表現を気に入る利用者がいなくても創作活動が続けられるので純粋に自分の個性を探求でき、よって個性そのものがひとつのジャンルとなる。つまりこれまでの「こうしなければならない」「売れない」と常識的に考えていた要素がなくなり、ただ自分は何を表現したいのかという要素が大きな割合を占める。それにより誰もが常識に囚われない純粋な直感を得始め、音楽、絵画、踊りなど芸術に関するあらゆることが直感的に表現される。直感的に表現するとは思いつきのようなものともいえるが、つまり一瞬先の予測がつかない表現方法が多くなる。これは現在で言えば現代音楽、抽象絵画、前衛芸術、即興表現、コンテンポラリーダンスなどが近く、精神的な遊びの方向へと向かう。ただこれは大きな方向性であって、現在ある表現や理論的なものも変化し続け、すべては全方向に進化する。


多目的施設

こういった活動が行われる多目的施設も太陽光発電などによって自家発電し、地震や竜巻など自然災害を想定したものにする。自治体内の最も高い建築物については、高層ビルのように人々に緊張を与える建物は人々の心理にマイナスとなる。よって原則として自治体の取り組みとしてよほど必要でない限り建物は樹木よりも低くして、どこまでも遠くが見渡せる景観を壊さぬよう努める。

多目的施設は自治体(プラウトヴィレッジ)の中心に建設し、住居をその中心から円形に広がるように配置して街を構築していく。

多目的施設には図書館、展示室、演芸場、病院、宿泊施設、IT電力水道管理室、工場、斎場(火葬炉、動物炉)などを併設する。そして家庭で使う食器を作るための電気窯と電動ろくろの設備を備えた陶芸室も併設し、粘土も地域で採集して住民は食器を自作する。住民は貧困に陥ることがなく満たされた生活を送るので犯罪が起こる可能性はほとんどなくなる。しかし各町会で、自主的なパトロールを行うかどうかは判断する。

そして自治体情報を管理する4つの組織を設置する。それは総務部、医食部、製造部、設計部となる。

◯自治体(部)
・総務部 (自治体運営に関する事務的な事柄)
・医食部 (医療、食、農業に関すること)
・製造部 (生活品全般の製造)
・設計部 (資源調査、インフラ設計、住居や農地の位置など自治体設計)

自治体の中心には運営館、芸術館、製造館の3つを建てる。運営館には各組織、IT電力水道管理室、病院、消防車、宿泊施設、斎場など自治体を運営する施設が集まる。芸術館には活動部屋、演芸場、展示室、図書館など芸術活動を行う施設が集まる。製造館は各工場設備や陶芸室など製造に関する施設が集まる。

そして運営館、芸術館、製造館へはそれぞれ150m以内で行けるように位置する。これにより多目的施設を利用する住民の交流はより活発になり、これ以上の距離になれば移動距離が増し、精神的な疲労感を感じることになる。また、各家庭から多目的施設までの距離は約2km以内を目安にしておくと、徒歩で通うことに大きな苦労を感じることがなくなり、自治体の活性化に繋がる。

さらにこの多目的施設の地下に地下駐車場を作る。地下に作ることで地上の自然破壊を無くす。


消防

プラウトヴィレッジでは住居が密集することはないので、火災時に住居から住居へ火が燃え移る可能性は少ないが、周辺の樹木へは燃え移る可能性がある。火災が起きれば自治体の消防車が出動し、規模が大きければ近隣の自治体からも応援が駆けつけるが、初期消火活動として住民自らが各家庭に常備されてある小型消化ポンプを使用して消火活動を行う。これにより周辺の木々へ火が燃え移ることが早期に予想された場合に、それらの木々に先に放水して被害を最小限に抑える。

このために各住居近くの上水道に消火栓を整備する。消火栓は棒が突き出た地上式消火栓ではなく、マンホール型の地下式消火栓で整備する。この地下式消火栓を上水道が住居へと向かって分岐している地点に設置する。そしてこの消火栓と同じ位置に小型消火ポンプとホースが入った格納箱を埋め込んでおき、住居人がすぐに消火活動を行えるようにする。ホースの長さは消火栓から家の裏まで回り込める長さが必要となるので、20m以上が目安となる。

住民による消化訓練も医食部が中心となって自治体で年2回ほど計画し、5町会や4町会で集まり訓練を行う。


災害時の救助と復興について

地震、火山噴火、地すべり、暴風、台風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、津波などの自然災害と人間は常に隣り合わせで生きているが、このどれが起きようとも基本的な対応策は同じである。自然災害の影響が及ぶ範囲は限定的であり、災害の影響が及んでいない周辺自治体が避難場所として被災者を受け入れる。

災害が起こりまず困ることは被災者の住む場所と食料だが、周辺地域の自治体や住民が避難場所として宿泊施設や自宅を提供し、併せて食べるものも提供する。次にその自治体の総務部がその避難者のリストをまとめオンライン上で周辺自治体と共有し、安否の確認がとれるよう手配する。

被災地への救助•救援活動は周辺自治体の医食部が中心となって行うが、事によってはヘリコプターなどが必要になることもあるので最寄りの空港がある場合はそこから、空港がなければ事前にそういった設備を準備しておく。こういった自然災害があった場合のために、クレーンやショベルカーなどで地元民が救助活動できるよう設備も操作技術も準備しておく。自衛隊などは存在しなくなるので、ここでも地元の人々が行うことを前提とする。基本的にこの手順で被災者の救助を行う。

次に復興については破壊される前の状態を作り出せば良いだけであり、そのために周辺地域の技術者が中心となって復興を行う。現代社会では復興する際の大きな問題として復興するための資金面の問題があり、復興後も経済的に成り立つのかが問題となって復興が遅くなる。しかし貨幣がないプラウトヴィレッジではそういった問題は起こらず、地元の資源と3Dプリンタと住民がいれば復興はすぐに行われる。

そして街が完成すれば再び住民は戻っていく。ただ地震、噴火、洪水などの自然災害の歴史を何百年単位で見ていくと、同じような場所で同じような災害が起こっていることがある。つまり復興する場合もやがて同じ規模の災害が起こると予測されるのであれば同じ場所に街を作らない必要性が出てくる。地域の歴史を慎重に検討し、自分達の子孫の世代のことも考えた上で街作りを行わなければならない。


警察について

街の治安を守るなどの業務も住民が行う。近隣で治安問題が起きた場合、まず住居6戸の5町会で話し合う。必要であれば加害者に対し、5町会全員で対話により解決を試みる。それでも解決しない時は4町会に持ち込んで話し合う。そのようにして住民で話し合って、住民で問題解決に取り組む。

また犯罪が起きた場合も同じく5町会から話し合いを始め、解決しない場合は上位の会へ相談する。その問題の加害者をどうするのかの最終決定は被害者が行う。


医療

プラウトヴィレッジでは菜食への移行と生活習慣の改善によって自治体住民の健康状態は良くなり病に伏せる人は少なくなるが、ほとんどの病状は住民自らが薬用植物などを使って治すことになる。そして芸術館にある病院では歯科、眼科、内科、外科、耳鼻科、皮膚科、泌尿器科、精神科、産婦人科、脳神経外科、伝統医療などの治療が無料で受けられる。芸術館に設置する理由は、住民が最も活動している場所となっているからで、その分ケガも増える。

治療には基本として薬用植物や伝統医療を用い、植物や備品も自治体でまかなう。さらに高度先端医療設備も整え、集中治療室、無菌病室など高度な医療の提供、開発、研修が行えるようにする。

自治体周辺で車、飛行機、船などの事故や自然災害が起こった場合は、最寄の自治体の医食部が中心となって救済活動や事故車の処理を行う。事故車などは製造館で原料へ戻される。出産については自宅出産か病院での出産となるが、現在では数が減っている助産師も需要が増す。住民が医師になりたいと希望すれば、この自治体の病院で医学も学ぶ。

そしてプラウトヴィレッジでは、医師のミスで患者が死亡したとしても医師が責任を追及されることはなく、誰も責任を負うことはない。手術が必要な怪我を負うこと、体調を崩すことなどはすべて本人自らが引き起こした問題であり、自己責任が基本となるプラウトヴィレッジでは誰にもその責任を押し付けることはできない。自分の健康について自分で責任を持つことが自立した人間の基本であり、これが前提にあることで助ける側も最善を尽くすことができる。

さらに食物の栽培方法や種子の管理など食に関する知識も医食部が管理する。


福祉

自治体では障害者福祉にも取り組む。多目的施設では車椅子の移動を前提に床面を平坦にし、ゆるやかなスロープや車椅子の幅を考慮した広い通路やドアを基本に設計する。各案内板には視覚障害者の為の点字を表記し、音声を自動で字幕化して画面に表示する音声認識技術も用いる。電動車椅子などの福祉用具も全て自治体の3Dプリンタで製造され提供される。身体障害者の補助犬の手配も自治体で行い、手話の教育なども行われる。

そして体の不自由な人がいる家族に対しては快適な生活ができるように、住居の内装もそれ仕様に設計される。ただ、一般的には建物内の物理的な障害を取り除くバリアフリーが良いとされる傾向にあるが、それによって障害者や高齢者をより軟弱にしているという結果も出ている。社会の至る所に、そして自然の中に障害物は常に存在するものなので、あえて障害物を残したほうが、長期的に見ると障害者や高齢者が自分で行動できる範囲が広がるという結果につながっている。このバリアフリーの程度は、最終的にはどこにどの程度の障害物を残すかというバランスの問題となるので、これは各自治体が、またはその家族が、住居や多目的施設の障害物の量を決めていくことになる。

日本には2014年の時点で460万人の認知症の高齢者が確認され、さらにその予備軍が400万人いるとされている。現在では施設に預けられる以外には、金銭面の問題や受け入れ先の有無などで在宅介護を余儀なくされる家庭も多い。プラウトヴィレッジではこの問題について、まず認知症と診断された住民が一緒に住む専用の住居を自治体内に設ける。そこには数十メートルなどの一定の範囲に草木で作った柵のような境界を設け、その敷地内なら自由に行動できるようにする。よって敷地内には池などの危険となるものはない状態にしておく。認知症患者は徘徊することが多々あり、在宅介護の場合、家族は24時間神経をとがらせて患者を意識しなければならないので、心身共に消耗する。しかし1人の人間として、また家族として24時間家に閉じ込めておくことはできることではない。そういったこともあり認知症患者も1人で自由に行動できるよう、一定の範囲内の行動ができる場所を設ける。その専用住居からの外出は家族や友人が一緒であれば当然自由で、出入りもいつでも可能である。ただ冬場の夜間の外出は凍死の可能性もあることから、冬場は玄関の鍵を閉めておく必要がある。日中は家族と共に自宅で過ごし、夜間は専用住居に預けておくということも可能である。

またトイレ以外の場所で排泄を行うこともあるので、その専用住居内の床は拭き掃除が簡単な床にする。そして同じく危険となる包丁などの道具は置いてはおかない。この専用住居は遠い場所にある施設ではなく同じ自治体の施設なので、住む家が近所の別の家に移ったという距離感であり、家族はいつでも会える状態である。この専用住居は自治体の医食部が管理し、家族や住民が患者の世話を行っていく。

また日本では一般的に馴染みがないものだが、福祉には身体障害者の性の介護も含まれる。こういったサービスを行う団体はオランダで生まれたが、日本でも徐々に広がっている。どんな重い障害者でも性的欲求があり、それを解消すべくセックスボランティアが住まいへ伺い介助を行う。こういったことも福祉の一環として位置づけられる。


動物の扱いと植物について

福祉関係の補助犬など、動物の助けを必要とする人が動物と生活を共にすることはあっても、それ以外の動物の所持については考える必要がある。動物に首輪をつけることや狭い籠に住まわすことは、動物本来の躍動的な動きが制限されるので当然動物のストレスとなる。安易な動物の所持は控え、動物の動きを制限しない付き合い方ができる場合のみ飼う。そして陸、海、空のどんな動物であっても無意味に殺すことは止め、部屋に入ってきた虫は外へ逃がす。

また現代社会ではスーツや普段着など世界の人々が同じような服装をすることが多くなっているが、プラウトでは社会的身分が無くなることや文化交流が盛んに行われることによって、民族衣装や自分を表現した個性的な服装や化粧が増える。衣服は動物愛護の思想に立脚し、ウール、シルク、カシミア、革製品などではなく、綿や麻などの植物繊維が主となる。スポーツ用品や楽器に使用される革や毛も使用は避けられ、その代わりにナイロン弦や合成皮革が使用される。また自然死した動物を利用して革製品を作ることも、1人がそれを行えば2人目が現れ、やがて人数が増えれば自制心も薄れることから控える。

また自分が飼っていたペットが死んだ場合は、自治体の総務部が管理する斎場の動物炉で火葬を行う。


水道水

プラウトヴィレッジでは河川へ汚水の流入がなくなり水質が改善される。河川の取水塔から取水された水は運営館のIT電力水道管理室で水質管理され、家庭へ送られる。下水道や下水処理場は必要なく、排水は農地に還元される。

そして水道水には野菜などのビタミンを壊す塩素は入れない。また水道管は鉛などが混じらず錆びないものを使用する。

綺麗な水を取水するため、地元の水源環境は厳しく管理し、出来る限り水が沸き出すポイントから取水する。それによりミネラルが豊富な生水をそのまま飲めるようになる。

河川が近くにない自治体には、最も近い自治体からパイプを伝って水を供給することが第一優先となり、それが不可能であれば自治体ごと水が供給される場所へ移転する。

島などで水源が確保できない場合は、水源がある地域から海底水道でつなげて供給する。ただ海底水道が建設できないような場所にある島の場合は地下ダムを検討する。地下ダムとは地中に水を通さない壁をつくって、地下水の流れをせきとめ地下水をためる施設であり、すでに日本を含め様々な国で使用されている。


所有物

物を所有する場合は、必ず本人が最後まで管理する事が責任となる。最後とは原料に戻すまでを指す。常に新しい物を所有または製造する際に、最後の処理までイメージしてから持つ。


葬儀と墓

基本的に人間は生まれて死んでいく生き物だが、死んだ後の儀式や死に対する考え方は宗教や文化によって様々となっている。死生観はその人がどういった場所に生まれ、どのような人生を送ったかで形作られていくものである。個人の死生観を他者が無理に変える必要はなく、プラウトヴィレッジではそれぞれに合った方法で葬儀が行われる。これは現代と同様だが、火葬が必要な場合は、自治体の総務部が管理する斎場(さいじょう)の火葬炉を使用する。墓という概念も宗教や文化によって様々だが、まず自治体が基本的に墓地を管理する。家族が望めば墓の場所は話し合って決める。拡張プラウト主義では散骨を推奨する。散骨とは故人の遺体を火葬したあと焼骨を粉末状にし、海、空、山でそのまま撒くこと。


育児

プラウトヴィレッジでの乳児は母乳で育てることが基本となる。しかし母乳が出ない母親やHIVなど体液を通して感染する病気を持つ母親の場合は、自治体の乳母(うば)が母親の代わりに母乳を与える。プラウトヴィレッジでは誰もが自由な時間を過ごしているので、近所付き合いの中で乳母となる女性を見つけ出すことは容易になる。

そして現在は紙オムツの使用が多いが、これは大量のゴミを生み出し、資源も大量に消費することから紙オムツの使用はなくなる。プラウトヴィレッジでは基本的にトイレットペーパーやティッシュペーパーが製造されないので、温水洗浄便座に乳児用補助便座を設置してそこへ座らせ、温水洗浄と温風乾燥を行う。オムツを使用する場合は布オムツを使用する。布オムツは化学繊維の物を使用するとかゆみを伴うこともあるので、麻など肌触りの良い自然素材を使用する。こういった布製下着は、高齢者の軽失禁用にも使用される。

プラウトヴィレッジでは夫婦共に自由な時間があるので常に赤ん坊の側にいることができ、育児に十分な時間を注ぐことができる。


子供のスマホ・携帯電話の使用について

 携帯電話の使用には良い点と悪い点がある。結論から言えば自治体のガイドラインとして、その良い点、悪い点をまとめ、それを親と子が学び、使用頻度を話し合って決める。
【子供が携帯電話を使用する良い点】
・情報収集が容易
・連絡がすぐ取れる
・幼いうちからデジタル機器に慣れる。
【子供が携帯電話を使用する悪い点】
・携帯電話が目に入る位置にあるだけで、作業や勉強に100%集中できなくなる。たとえ電源が入っていなくても。その分、能力が身につきにくくなる。
・ゲームやSNSなどの依存症になりやすい。
・小さな画面を長時間見ることで、目や体が疲れやすい。
・共感能力の低い子供によるネット上のいじめが起こる。
・携帯からの電磁波が発がん性の可能性がある。特に子供の脳は電磁波を吸収しやすい。2011年、WHO(世界保健機関)より。
 各国では携帯電話の規制・勧告・要請は次のようになっている。
▪ 16歳以下の子どもは携帯電話を使うべきではない(ロシア、国立非電離放射線防護委員会)
▪ 8歳未満の子どもには携帯電話を使わせないように(イギリス、国立放射線防護委員会)
▪ 12歳未満の子ども用携帯電話の全ての広告を禁止(フランス政府)
▪ 10歳未満の子どもを販売対象にしない(オーストラリア、バージン・モバイル社)
▪ 8歳以下の子どもたちには固定電話を(カナダ、トロント市公衆衛生局)
▪ 16歳以下の子どもには携帯電話を使用させないように(アイルランド医師環境協会)
▪ 16歳未満の子どもの携帯電話使用・販売は禁止(インド、カルナタカ州)
▪ クリスマスプレゼントに携帯電話はやめよう(オーストリア、ウィーン医師会)
▪ 7歳以下の子どもへの携帯電話の販売は、店頭でもインターネットでも禁止(ベルギー政府)
▪ 小中学校への持ち込みは原則禁止(日本、文部科学省)

健康への被害は、科学的にはっきりと証明されたわけではないのが現状。また、男女ともに16歳前後の第二次成長期までは、運動神経や心肺機能も大きく伸びる時期となっている。運動できる時間に携帯電話でゲームする子供が増えることは、子供の成長を長期的な視点で見た場合、無駄にしていることも多い。しかし運動よりも頭を使った作業が得意な子供にとっては、インターネットにつながった携帯電話は特技を伸ばすという側面も持っている。つまり、子供の特性によって答えは変わってくる。


「州」

プラウトヴィレッジの社会では現在の小さな国が州に、大きな国は分割されて州に再編される。そして州都を選定し、自治体の1長(首長)が集まって州議会が開かれる。州からは州知事が1名選出され、世界連邦に州の代表者として参加する。

州は自治体と同じく総務局、医食局、製造局、設計局が設置され、州規模の管理を行う。ただ州のこれらの組織は必要があれば作り、自治体で運営が完結しているのであれば必要はない。また州は軍隊を持つことはできない。


電力設備

このように電線、通信ケーブル、アクセスポイントが一体となった地下トンネルを構築し、太陽光発電などで地下内の電力を一括してまかなう。この電力源の1つとして、各家庭の屋根型太陽光発電の余剰電力を利用する。各家庭の余剰電力は地中の電線を伝って自治体のIT電力水道管理室へ集められ、そこでも利用されなかった電力が地下駐車場を通って地下トンネルへ供給される。つまり余剰電力を集めることによって自治体そのものが大きな発電源となる。

この余剰電力の合計を理解するために、まず自治体であるプラウトヴィレッジには1万4112戸の住居がある。ドームハウスすべての屋根が太陽光発電になり、少なく見積もって一家庭10kwの電力が毎時得られるとし、そこから5kwの余剰電力が生まれるとすれば、自治体からは単純計算で毎時7万560kwの余剰電力が日照時間に得られることになる。この数字は1万kw以下の小水力発電ダムの規模を上回る。これを日本の全人口分のプラウトヴィレッジ4151万7504世帯に当てはめて計算すると、2億758万7520kwの余剰電力が生まれることになる。日本の原子力発電所約50基は約4800万kw、水力発電は約4500万kw、火力発電は1億4500万kwの発電設備容量で、その合計2億3800万kw。

そしてこの家庭の余剰電力は超伝導ケーブルによって地下トンネルへ供給され、電気自動車の充電に利用される。超伝導ケーブルは抵抗がほとんど無いため損失を小さくでき、発熱もないため電流密度を向上させ、ケーブルをコンパクト化することができる。世界中の電力設備は地下トンネル内の超伝導ケーブルで結ばれ、最終的には太陽が照り付けている地域の余剰電力は、その間夜の地域へ供給される。そして自治体のIT電力水道管理室が地下トンネルの電力調整を行う。

またこの電力設備によって全世界が1つの電線で繋がっているので、今後太陽光発電に勝るエネルギー源が開発された場合にも、発電源を複数個作れば全体に行き渡らせることが可能となる。

国や地域によっては雨季があったり曇り空や雪が多い地域があるので、太陽光発電から安定した電力を得ることが難しくなる場合は地熱発電も検討する。


船舶

もし港を作る場合、プラウトヴィレッジでは漁業船などがなくなり、人々の行き来に必要な輸送船や貨物船、そして桟橋があるだけでよいので、港は自然によってすでに条件が整えられている天然の良港にのみ作る。


「世界連邦」

連邦制は世界連邦と州が明確に権限を分かち合う体制をいう。アメリカにおいての連邦制は、州単位では扱いきれない国防問題や外交問題、国際貿易についての政治権限を中央にまかせ、それ以外のことについては各州にまかせるという大枠を明文化している。世界連邦は連邦首都を選定し、世界憲法を制定し、立法、司法、行政についての業務を行う。世界連邦も自治体と同じく、総務、医食、製造、設計の組織が存在し、州より大きな規模で管理調整を行う。ただ世界連邦のこれらの組織も州と同じように必要があれば作り、自治体で運営が完結しているのであれば作る必要はない。

◯世界連邦(省)
◯州(局)
◯自治体(部)
・総務部 (自治体運営に関する事務的な事柄)
・医食部 (医療、食、農業に関すること)
・製造部 (生活品全般の製造)
・設計部 (資源調査、インフラ設計、住居や農地の位置など自治体設計)

立法、司法、行政に関しては、三権分立などで権力を分散させることが多いが、ここで理解するべきことは、世界連邦に参加する州知事というのは、自治体から選ばれてきた人格者であるということ。つまり人格者の集まりが世界連邦であり、そこで権力の乱用が行われることはない。また多くの問題を自治体で解決することが前提となるので、世界連邦で解決する問題は限られたものになる。この州知事の中から大統領を一人選出する。こうして世界連邦は一院制によって運営される。次は州知事が集まる世界連邦の行う業務の内容。


立法

立法は人々の権利義務について世界憲法を定める。立法での法案は連邦議会の州知事達の全会一致の賛成により効力を有する。また各州の州議会で話がまとまり、州知事から請求がある時は、修正の為の憲法会議を招集する。そして大統領や世界連邦に参加する州知事に対する弾劾裁判も同じく、連邦議会の全会一致の賛成により弾劾対象者を免職する。


司法

司法では国際紛争などを解決する。連邦裁判所としての役目で、州知事同士の話し合いで決定しない場合の最終決定は大統領が行う。


行政

行政では世界各地を巡り、地域の人々と接し、各地の状況を把握して親しい関係を築くもの。地域社会そのものは自立した循環社会が構築されているので、新しい政策を実行していくような必要性は少なく、全体を統率する重しのような存在になる。ただ新しい政策が必要な場合は、世界連邦において話し合う。


○世界連邦から自治体までの各省の業務内容

総務

【世界連邦】
・立法、司法、行政における業務。

【州】
・州内の諸問題の解決。
・人工衛星など宇宙に関係することの管理。

【自治体】
・人口や男女比などの資料作成。
・自治体情報の作成と公開をウェブで行う。(人口、収穫物の収量、専門技術の一覧など)
・自治体住民の個人情報の管理(生年月日、血液型、出生地、家族構成、出産、転居、医療履歴)。この個人情報は医食部と共有し、医食部が医療履歴を更新する。
・住居と居住者情報の管理と、新入居者への住居の割振りとサポート。
・技術者の人員管理。
・伝統文化や文化財の管理。
・図書室の管理。
・人工衛星など宇宙に関係することの管理。
・飛行場の管理。
・港の管理。


医食

【世界連邦】
・各州ごとの高度医療施設の把握と情報発信。

【州】
・高度医療施設がある自治体の把握と情報発信。
・複数の自治体が被害にあった大規模災害が起きた場合、州の医食局が各地のヘリコプターなどの大型設備を統率して派遣する。

【自治体】
・食物の栽培。
・ハーブを栽培し、薬を製造。
・収穫物の収量をまとめる。
・病院設備や福祉に必要な設備の仕様をまとめ、製造部で作ってもらう。
・食育と医療に関する教材をウェブ用に作成。
・福祉関係の業務。
・育児教育と教育教材の作成と公開。
・総務部の個人情報と連携し、個人の医療履歴の管理。
・需要が少なくなる高度医療設備を、周辺自治体と話し合ってどの地域に作るのか判断する。
・消防車やヘリコプターなど災害時の必要設備をまとめ、製造する。
・災害対策マニュアルをまとめ、ウェブで公開する。
・自治体の消防訓練。火事が起きた時の地下式消火栓の使用方法の指導や、説明動画の作成など。
・周辺自治体と話し合い、ヘリコプターなど災害救助用の大型設備をどこに設置するか決める。


製造

【世界連邦】
・世界中に埋蔵する産出量の少ないレアメタルの埋蔵量の調査と資源分配の管理。

【自治体】
・工場設備の構築。
・運営館、芸術館、製造館、住居の建設。
・生活品の製造。
・工場設備の使用マニュアルをウェブ用に作成。
・教育教材、研究結果、設計図、動画共有サイトなどをまとめて表示するウェブサイトの構築。


設計

【世界連邦】
・世界規模での電力調整。世界連邦の首都にその機能を置く。
【州】
・州の間での電力調整。州都にその機能を置く。

【自治体】
・地域の地図、鉱物資源の分布、樹木の量、植物資源、年間降水量、気候、気温、技術者 リストなどの資料の作成。
・地下トンネルとIT電力水道管理室の構築に必要な設備をまとめ、構築する。
・運営館にIT電力水道管理室の構築。
・河川からIT電力水道管理室へ上水道を構築。
・IT電力水道管理室から家庭へ上水道、通信ケーブル、電線を結ぶ。


 

○世界連邦ウェブサイト

 

世界連邦のウェブサイトに表示する項目

・世界連邦(世界の情報)

全人口、男女比など、地域の地図、鉱物資源の分布、樹木の量、植物資源、年間降水量、気候、気温、天気、技術者リスト、発電電力図、地下トンネル分布図

・州(州の情報)

人口、男女比、公用語、州知事名、設立年月日、時間帯、地域の地図、鉱物資源の分布、樹木の量、植物資源、年間降水量、気候、気温、天気、技術者リスト、発電電力図、地下トンネル分布図

・自治体(自治体の情報)

人口、男女比、公用語、1長(首長)名、設立年月日、時間帯、地域の地図、鉱物資源の分布、樹木の量、植物資源、年間降水量、気候、気温、天気、技術者リスト、発電電力図、国際電話番号


個人情報

世界連邦ウェブサイトの個人情報の入力画面は世界共通フォーマットにし、個人情報は自治体の総務部と医食部しか見られないようにしておく。個人情報の更新を行えば、その上の階層である自治体、州、世界連邦の数値も自動で更新されていく。

個人情報の内容は入力項目は、生年月日、血液型、出生地、家族構成、出産、転居、医療履歴、3Dプリンタの使用履歴、生活品の不法投棄の有無など。

また履歴を残さないものと残すものを分ける。犯罪履歴は記録しない、更正する可能性があるため。新たな情報が追加される可能性があるので、それも可能な仕様にする。3Dプリンタで製品を作り出せる量は、地元の資源量から人数分で割った数値が与えられる。それ以上に必要な時は、自分で他者から分けてもらえるように相談に行く。また歯の検診を半年に一回、人間ドックを1年に一回来るようメッセージを表示して、健康記録を残していく。住民は指紋か目をかざすだけで、個人情報にログインできる。


動画共有サイト

現在では一般市民が目の前で起こった出来事をカメラで撮影し、それをニュースとして動画共有サイトにアップすることは一般的になっているが、プラウトヴィレッジでもそういった動きは続く。現在はテレビなどの報道の仕方ひとつで視聴者の感情を煽ることは容易で、背景に流れる音楽を変えるだけでもニュースの印象は変わり、視聴者は良くも悪くも疑いの心を持たず内容を受け入れる傾向にある。こういった映像の性質や影響力は戦争などで国民感情を煽る目的でも使用され、大多数は戦争を望んでいない状況でも1人の好戦的な発言が流されると、国民全員が戦争を望んでいるかのような印象を受けることもある。

テレビの内容は自分に興味があるかないかに関係なく次々と流れ続け、興味がない内容の場合、真実を熟考しながら見ることはなく、ただ擦り込みのように印象が脳に刻まれる。ネット上の動画も同じようなことは起こりえるが、テレビと大きく違うのはほとんどの場合興味のある映像を自ら選んで見ることが多く、興味のない映像は見ないということにある。自ら望んで映像を選択するので真実を知りたいという好奇心が強く、よって考えながら見る割合が増え、様々な意見を取り入れようとする。

こういったテレビとインターネットの2つの傾向を考慮し、少しでも真実に近づけるように、そして視聴者が自ら考えながら情報収集できるようにするには、住民参加型のオンライン動画共有サイトとして運営することが1つの方法となる。つまり報道機関を権力化せず、様々な撮影者の視点で出来事を見ることができるようにする。そして自分の中でその断片をつなぎ合わせ、出来事の全体像を形作っていく。

プラウトヴィレッジの社会では住民が持つカメラの性能が向上することや余暇が増えることもあり、こういった住民の投稿は一層増える。